昇格面接の「管理職になったら何をしたいか?」の回答方法と例文を解説
筆者は会社の昇格・昇進面接試験の仕事に長く携わった経験を基にして、これから昇格面接試験に臨むあなたに今回の記事を書く。
特に回答が難しく、困っている人が多い「管理職になったら何をしたいか?」という質問について、考え方と回答の仕方を解説する。
難しい質問だからこそ、差が付きます
1.「管理職になったら何をしたいか?」という質問
毎年、昇格面接試験の時期になると、人事部から面接官となる社員に「インタビュー評価シート」なる書面が送られてくる。
これは面接試験を公平に実施するため、昇格候補者全員に同じ質問を投げかけ、それに対する解答を公正に評価するための社内統一評価シートである。
そこに毎年必出の質問がある。それが、
「管理職になったら何をしたいか?」
「なぜ管理職になりたいのか?」
という問いである。
この質問の過去の回答をみてみると、管理職になったら「ああしたい」「こうしたい」「こうもしたい」と、枝葉抹消の話から夢物語のような話、果ては私生活の話題に至るものまで、回答内容は多種多様であった。
そして、それぞれの回答は決して誤りとはいえないが、管理職への昇格試験の回答として「適切な回答」とは言い難いものがほとんどで評価はできない。
なぜ面接官が納得する回答が少ないのか?
それは昇格候補者たちが、面接官の質問の真意を十分理解していないから。
相手の自分に期待する次元やレベルが分からなければ、その期待には応えようがないのは当然の摂理。
2.「管理職になったら何をしたいか?」の真意を汲み取ろう!
「管理職になって、何をしたいか?」と聞かれると、その言葉の響きから職務にかかるいわば「嗜好」を尋ねられたと捉えそうだが、それはこの質問の真意を適切に理解できていない。
なぜなら、会社においては「したいこと」より「なすべきこと」の方が遥かに優先度は高く、かつ業務量も圧倒的に多い。
特に昇格試験では、この感覚が必要。
面接官はこの「なすべきこと」を、特に初級管理職がきちんと認識しているか確認する必要がある。
従って、質問の言い回しは「何をしたいか?」だが、これは「何をすべきか?」と問われていると捉えることが適切だといえる。
面接試験では、時にこのように一見簡単素朴な表現で、昇進候補者の想像力や洞察力そして問題意識を測ろうとすることがあるので留意が必要である。
「何をしたいか?」と問われるが、面接官の真意としては「何をすべきか?」と聞いている
3.「管理職になったら何をしたいか?」を聞く目的
では、この質問の具体的な目的とはどのようなものか?
結論からいって、この質問の目的は次の二つである。
(1) 管理職の役割を理解しているかを確認している
面接官はこの質問で、昇進候補者が管理職の「役割」をきちんと理解しているか確認したいと思っている。
「何をしたいか?」と問われると候補者はつい力が入り、得意な実務上の問題意識を語り、あるいは情熱に任せて夢のような理想を回答したくなるが、それでは加点されない。
会社組織の中で、特に初級管理職が期待される役割を適切に理解し、それを認識しているかが問われているので要注意。
管理職の役割については次の章で後述する。
(2) 自己研鑽ができる人材か を確認している
この質問にはもう一つ目的がある。それは管理職としての適性の見極めである。
管理職になるまでは、上司の下で手厚い指導を受け、周囲から支援されながら職務を遂行することを求められてきた。
一方で、管理職は、自分で問題を発見し、自分で解決策を立案し、それを実行に移すことも職務のひとつである。そのためには日頃から自己研鑽して、自らをキャリア・アップしなければならない。会社は管理職に手取り足取りの教育はできないのである。
そこで、面接官は昇進候補者が自らを律していく胆力と覚悟があるかどうか、見極めたいという考えがある。
4. 管理職の「役割」は二つだけ
では次に管理職の役割とは、一体どんなものがあるだろうか。
管理職はいつも多忙を極めている。したがって、その役割は星の数ほどあると思われがちだが、そんなことはない。
管理職の役割は実は次の二つだけに集約されるのである。
結構シンプル。
日常で生起するどんな高度な問題も雑多な課題も、必ずこの二つの役割のどちらかに該当しているはずである。
(1) 自部門の目標を達成すること
会社内の各部門の目標を合計すると、それは会社目標に合致するはずである。
つまり、管理職は会社目標達成するための一翼を担っている。これは決して管理職ひとりで達成できるものではない。
目標の理念や妥当性を部下や関係者と常に共有し、統率力を発揮して部門を動かして、目標を達成することが大きな役割のひとつである。
(2) 部下の育成をすること
そして、もう一つは部下の育成である。部下の育成いかんで、自部門の目標達成の成否が左右されることは言うまでもない。
昨今は特に若手社員を中心に、会社へのロイヤリティの低下が叫ばれ、会社で働くことの価値観も多様な時代である。
そのような部下たちをどう育成していくか。これが管理職の役割の二つ目である。
5. 「管理職になったら何をしたいか?」の模範解答例とダメな解答
ここでは、「管理職になったら、何をしたいか?」という問に対し、私が実際にこれまでに最も感心した解答例文と、ダメな解答例文のいくつかを紹介するので参考にしてほしい。
(1) 「管理職になったら何をしたいか?」の模範解答例
(管理職になったら)自分の課の目標を必達させたいと思います。また、部下を各々の能力と特性に応じて育成し、自分が不在でも日常業務が滞ることのない、標準化された状態を最終ゴールとしたいです。そして、それらを実現するために、必要な勉強を自ら続けたいと思います」
管理職の最大の役割と部下育成、そのための自己のキャリア・アップの必要性を、平易な言葉で気負いなく述べていて評価が高いといえる。
(2) 「管理職になったら何をしたいか?」のダメな解答例
- 社内の実務上の問題を改善したいとする解答
→ これは担当者レベルで、進めてほしい話である。 - 会社や上位部門の目標とベクトルが違う解答
→ これでは会社の一翼を任せることができない。 - 「夢」を実現させたいという解答
→ 会社から与えられるリソースには、限りがあることを認識してほしい。 - 個人の生活を充実させたいという解答
→ 非常に大事なことだが、それは別の問題である。
では、回答を考える際、具体的には、どのような手順で考えればよいのか。
まずは、面接の評価項目を知ることが重要である。
これを、動画で解説したので、必要な人は無料なので受け取って欲しい。
6. 昇進試験は選抜試験である
昇進試験は誰かが合格し誰かが不合格となる、かなり冷酷な選抜試験である。
重要なのは、昇格試験に受かるための方法論を学び、効率的に対策すること。
昇格試験は少なくとも昨今の試験は受かるための知識ゲーの要素が強いです。
一生を左右するこの昇格チャンスを絶対にものにするため、あらゆる工夫を行って欲しい。
7. まとめ
この記事では、昇格試験で必ず問われる「管理職になったら何をしたいか?」という質問に対してどう答えればよいかを解説した。
大切なのは、この質問で面接官が何をチェックしたいのかを知ること。
面接官のチェックポイントについて更に学びたい人は、以下のnoteにて。