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昇進・昇格試験ケーススタディの例題と模範解答【完全対策】

昇進・昇格試験でケーススタディ試験を受ける方、こんな悩みを抱えている人いませんか?

  • どんな例題が出るのか知りたい
  • 模範解答を知りたい
  • 解き方を知りたい

このような悩みについて解決する。

私は大手企業の人事課長をしており

  • 昇格試験の設計・運用
  • ケーススタディ試験の作成・候補者の評価

を行っているこの手のプロである。

この記事では、以下の内容を解説する。

ケーススタディ試験は、一定の型を身に着けると、必ず合格点はもらえる試験なので、知識をインプットしよう。

徳丸 博史
徳丸 博史

ここで落ちたら本当にもったいない

目次

ケーススタディ試験とは

昇進・昇格試験におけるケーススタディ試験とは、次のような試験である。

  • 会社で実際に起こりそうな架空の事例(ケース)を題材にして、
  • 問題の発見から対策の立案までの考え方を問い(スタディ)、
  • 昇進候補者の主に課題解決能力を見極めようとするものである。  

ケーススタディ試験の形式と進め方

ケーススタディ試験は、面接によるやり取りで実施されることもあるが、筆記試験として行われるのが一般的である

昇進候補者は与えられた設問(事例)を読み込み、決められた字数と時間内で設問に解答を記述する、という方法で進められる。

試験時間は60分から90分程度で、設問に簡潔に答えさせる方式や1,000字から1,600字程度の記述を求めるものまで、やり方は各社で様々である。

ケーススタディ試験問題の傾向

昇進・昇格試験は管理監督職層(係長・課長・部長など)への選抜試験である。

したがってケーススタディ試験の設問は、管理監督者に一般的に求められる資質を問うものが必ず出題される。

すなわち次の三つのテーマが頻出で、これらを組み合わせた設問も多い。

  • 目標達成に関すること
  • 部下育成に関すること
  • 顧客対応に関すること

ケーススタディ試験の例題(1200字)

ここでは二つの例題を紹介する。いずれも筆者が実際にかかわった設問で、内容を一部改編したものである。

例題1 営業所長候補(あるいは営業系職種共通)向け例題

設問:目標未達成と部下育成

あなたが営業所長だとして、次の問題に遭遇したときどう対応するか1,200字以内で記述せよ。
なお、想像力を働かせ、明記された事柄以外のことに言及しても構わない。

異動で営業所長が新任地に赴任した。さっそく営業所の数字を確認すると、目標売上に20%も未達の状態が続いている。当社は食料品の販売大手であり、売上額はその地域の人口の多寡に左右されるといわれている。

営業所内には古参の副所長がいて、本人はそれを言い訳に目標達成意識が薄い。 また、若手の営業所員には叱りつけるだけで、当社の営業の手法さえ教えていない。 営業所長は異動にあたり本社の上司からは、目標達成と部下育成を厳命されている。

>> 解答例はこちら

例題2 品質管理課長候補(あるいは技術系職種共通)向け例題

設問:顧客からの品質クレーム

あなたが品質管理課長だとして、次の問題が生じたときどう対応するか1,300字以内で記述せよ。
なお、文中に「優先」「再発防止」の二つのワードを必ず盛り込むこと。

当社は着火装置等を製造する大手メーカーであり、会社の理念は品質第一である。
ある日、営業部より品質管理課担当者に、「装置の幾台かで着火不良が発生して、顧客に迷惑をかけている」とのクレームがあった。

これらの装置は折からの原材料高騰に伴って、最近部品の一部を日本製から廉価な外国製に切り替えた矢先のことであった。マニュアルでは品質検査は、手作業でのサンプリング検査で合格としている。

この報告を受けた品質管理課担当者は検査員の立場から、当初より外国製部品を使うことに反対で、直ちに日本製に戻すべきだと主張して譲らない。品質管理課長は顧客対応が重要なのはもちろんのこと、品質もコストも大事であり板挟み状態である。

ケーススタディ試験で何が評価されるのか?

読者は前項の設問例をどのように受け取ったであろうか? いずれも会社ではよくある話だ。

しかし、これが昇進のための筆記試験問題となると、何をどのように記述すれば評価されるのか戸惑いがあろう。

実はケーススタディ試験において、評価者の評価視点は次の4項目だ。

従ってこれらの項目の意味をきちんと理解し、設問に対しこれらに沿って記述すれば加点され、逆にひとつでも抜けると評価されない。

以下に各項目を順に説明したい。

(1) 問題発見力

問題とは
「問題」の定義を押さえよう。
「問題」とは何か?

問題とは「現状」と「目標 (=あるべき姿)」との差(=ギャップ)のことである。

従って「問題発見力」とは、どこに、どんな「現実」と「目標」との差が存在しているのかを発見する(=意識する)力のことである。

(2) 原因分析力

原因分析力とは、なぜ「問題」が発生したのか?その要因を分析する力のことである。

ここで重要なことは、「なぜ?」「なぜ?」・・・を繰り返すことで、問題の要因を深掘し追求する力を示すことにある。

(3) 対策立案力

対策立案力とは、原因分析に基づいて問題解決のための対策を講じる力のことである。

対策を立案するにあたっては、具体的な対策案を示すことが必要である。

(4) 統率力

リーダーシップのことである。

統率力には、上司や部下さらに他部門との調整力、そして部下の育成力を示すことが重要である。

ケーススタディ試験の模範解答と解説

ここでは前述の例題について解答例を示し、その後解説を加えたい。

解答にあたっては上記で挙げた四つの評価視点を念頭に置くと、書き進めやすい

解答例1 営業所長候補(あるいは営業系職種共通)向け模範解答

設問:目標未達成と部下育成

私は営業所長として、次のとおり課題を解決していく。

1. まず、この営業所の問題を列挙すると次のとおりとなる。

(1) 売上目標(100%)は示されていて、実績は80%であり20%が未達成であること
(2) 販売の不振理由を地域の人口数問題のみに求め、適切な市場調査が実施されているべきだが、これが行われているか明らかでないこと。
(3) 中核的リーダーであるべき副所長が、あるべき管理者像と乖離していること
(4) 営業所員には営業教育を受けさせるべきだが、これができておらず営業マンとして一人前でないこと

2. 次になぜ前述の問題が生じているのか、その原因を考えたい。

最重要課題である売上目標が20%未達成の原因は、単に地域の人口問題にあるのでなく、営業所全体のいくつかの 複合的な要因が、この問題を起こしていると考えられる。

すなわち、次のとおりである。

(1) 市場調査に基づく販促活動や商品ラインアップの見直し、さらに新規顧客の開拓努力がなされていないこと
(2) 副所長をはじめ営業所員は、売上目標の数字に理解も納得もしていないこと
(3) 副所長は部下への教育指導が、管理者の最大の職務のひとつであることの自覚がないこと
(4) 営業所員に営業教育を実施していないことから、その営業スタイルはそれぞれ自己流で、効果的な商談に結びつかないこと

3. 私は以上の問題の発見とその原因分析を経て、次の具体策を立案する。

(1) 地域の情勢を数字で把握するため、市場調査を実施する。これは営業所の力だけではできないため、本社の上司と相談のうえ本社スタッフの支援を仰ぐ。期限は本年上期までに実行する。
(2) 市場調査の結果をみて、今後の販促策の立案と商品の選別化を行う。期限は市場調査終了後1か月以内に行う。
(3) 目標数値への理解と納得を営業所内で共有する必要があるため、副所長はじめ営業所員には、会社方針から目標数値の根拠を繰り返し説明し、モチベーションを向上させる。
(4) さっそく本日より、副所長および営業所員の顧客訪問には私が順次同行し、顧客対応を現場で手本を示すOJTを実施していく。
(5) さらに、6か月後をめどに、副所長には外部の「中堅管理者研修」を、営業所員には「営業マン基本研修」を受講させ、OJTによる実務経験を理論的に理解できるよう育成していく。

以上のとおり私は営業所長として、営業所内外の問題を把握し、その問題の原因を見極めたうえで具体的で効果的な対策を立案し、強いリーダーシップをもって目標を達成する所存である。

解説
  • 目標未達成と部下育成」はオーソドックスなテーマで頻出である。この類の設問を何度かトレーニングして慣れておくと応用がしやすい。
  • 「対策立案力」では、「何を」「いつまでに」「どのような状態にする」 のかを記述すると説得力が増す。
  • 「想像力を働かせて・・・構わない」との条件がつく設問がよく見受けられる。これは「想像力を働かせろ」と捉えるべきで、自由に発想を展開してよい。ただし、あまりに極端に走ると論理の飛躍に陥る恐れがある。自社の組織やその役割を念頭に、その範囲にとどめることが賢明だ。

ケーススタディ試験の解答のコツ

昇進・昇格試験のケーススタディ試験の解答のコツは以下の通りだ。

解答のコツ
  • 設問をよく読み、評価者の狙いを想定してから書き始めること
  • 解答は「問題発見力」「原因分析力」「対策立案力」「統率力」の4点を念頭に、これらを順に記述すると書き進めやすい
  • この4点のうち最も大事な項目は「問題発見力」である。何が「問題」なのか最初に見誤ると、その後の論理展開が破綻しやすくなる。
  • 設問には字数などの条件が付されていることが多い。これは必ず守ること
  • 箇条書きを多用すると頭の整理がつくばかりでなく、なにより評価者が読みやすい。

まとめ

昇進・昇格試験での筆記試験は最もやっかいなハードルのひとつである。記述となると文章を書く巧拙が昇進候補者を悩ませるためだ。

しかし、このケーススタディ試験に限っていえば、これまで述べてきたとおり一定の型を身に着けると、必ず合格点はもらえる試験である。満点を狙う必要はない。

読者がこの試験で健闘されることを祈念したい。

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徳丸 博史
人事担当・課長
現在は人事担当で課長職。
昇格試験の面接官を担当し、年間60名程の面接を実施。
初めての昇格試験時、周りからのプレッシャーと対策の仕方がわからなすぎて焦りから鬱病に。
一度不合格になったが、翌年に再受験で合格。
昇格試験で辛い想いをしている人を救うべく、不透明な昇格面接の対策法を発信する。
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