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【保存版】インバスケット試験の対策(昇格試験編)を人事課長が公開

このブログは昇進試験にあたり、インバスケット試験を控えている読者向けに執筆したものである。

筆者は会社の人事部でインバスケット試験の運営に長く従事し、この試験に対する受験者の不安や悩みを現場でみてきた。

筆者のこの経験が、初めてインバスケット試験に臨む読者の一助になると幸いである。

このブログの運営者情報。①大手企業の人事課長 ②昇進試験の制度設計・面接官担当 ③会社にも認定される昇格試験オタク
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目次

1. インバスケット試験対策は難しいのか?

インバスケット試験は昇進試験のひとつとして採用されることが多く、「インバスケット試験は対策もできなく、難しい」とよくいわれるが、実際の合格率について解説する。

インバスケット試験の合格率は平均10%前後

各会社が設定する評価基準や昇進者の員数にも左右されるが、この試験に限れば合格率は平均10%前後というのが実情である。

筆者もインバスケット試験で不合格になった(経験談)

実は筆者も社内でこの試験を運営する立場上、かつてインバスケット試験に挑戦した。

当時筆者は係長職で、マネジメント理論や知識は人並み以上に習得し、日常業務も卒なくこなしていた。

従って、当時の徳丸は

徳丸 博史
徳丸 博史

「インバスケット? 少し勉強すればなんとかなるだろう」

と軽く受けとめていた。

ところが、その結果は惨憺たるものであった。そして2度、3度と受験しても、なかなか合格に至らなかったのである。

試験の「勉強」といえば入学試験や資格試験においては、

  • まず「知識の詰め込み」
  • 次に「過去問のチェック」
  • 最後に「コツの習得」

という対策プロセスが合格への近道であり、王道である。

ところが、このインバスケット試験は、これらの対策だけではいかんともし難い。

そのことに気がついたのは、ようやくこの試験で合格点をもらった時であった。

その背景と理由は後に述べる。

2. インバスケット試験はどんな内容か?

インバスケット試験が、どのようなものか読者はご存じだろうか?

インバスケット試験の内容を簡潔に説明すると、次のとおりとなる。

受験者本人が上位の役職者になりきって、試験問題で示された架空の会社に身を 置き、パソコンの受信箱(インバスケット)にある未開封の架空の案件を、制限時間内にいかに多く適切に処理できるか、のいわばロールプレイ・ゲームである。

もう少し詳しく説明しよう。

(1) 「上位の役職者になりきること」

試験問題で指定された「上位の役職者になりきること」が絶対的に求められる。従って「私ならこうする・・・」とか「・・・こうすべきである」といった傍観者的あるいは第三者的なアプローチでは、合格はまずおぼつかない。

あくまでも自分が上位の役職者として主役に徹し、問題に取り組まなければならない。

(2) 「架空の会社に身を置く」

「架空の会社に身を置く」とは、現在読者が勤務する会社とは全くの異業種が、架空の舞台として用意されるのである。

また、職種についても同様で、読者が現在経理課の係長だとして、異職種の上位役職である例えば営業課長や、購買課長になりきることが求められるのである。

(3) 「架空の案件」

「架空の案件」は一般的なインバスケット試験では、20件の未読受信メールが提示される。差出人は上司、部下、同僚、他部門の関係者、顧客、下請業者、資材購入先、関係官公庁等々の通常業務で接点のある利害関係者ばかりでなく、予期せぬ差出人からのメールも含まれているかもしれない。

そして、そのメールの内容は千差万別で、これは読者も現実の世界で経験していることと同じである。

(4) 「決められた時間内に」

インバスケット試験では、この制限時間が合格への関門のひとつである。とにかく圧倒的に時間が足りないのである。筆者が初めてインバスケット試験を受けたときは、20件のメールと付属の資料に目をとおすだけで、60分の制限時間の50分以上を要し、回答はほとんど何も書けなかったという苦い経験がある。

そもそも、このインバスケット試験は、質・量ともに全答できる試験ではないし、全答することが必須ということでもない。ここで大事なことは、メールの優先度(緊急度・重要度)を素早く判断し、回答の時間を十分確保することである。

(5) 「適切に処理できるか」

第1項で少し触れたとおり、インバスケット試験は現在保有している知識の量や質、あるいは技能の巧拙を問うものではない。いわば、受験者の上位役職者としての資質を、事前に推し量ろうとする試験である。従って20の案件について、役職者として適切な判断や言動が回答書に表現されていれば、合格点に近づいていくのである。

このことはインバスケット試験を知るうえで最も重要なことで、次項以降にいま少し解説したい。

3. インバスケット試験の目的

では、インバスケット試験の目的とは、一体どんなものであろうか。

インバスケット試験の目的は次のとおりである。

インバスケット試験実施の目的は、受験者が上位の役職者に着任した時の思考力・行動力を推し量る、あるいは先読みしようとする試験である。

つまり、仮に現在係長の職にある受験者が課長職になったら、課長職として必要な能力を発揮できるかどうかを、事前に観察しようとする試験である。

では、なぜこんな試験が必要かといえば、知識やスキルをたくさん習得していても、これらを実践で使えるかどうかは別問題である。読者も経験があると思うが、勉強を重ね、研修会に出席し、上司や先輩から教えを受け、多くの知識やスキルが蓄えられる。ところが、これを日常業務のなかで活用しているか、実践できているか、といわれると、なかなか難しい現実がある。

しかし、優秀といわれる役職者の行動パターンを観察すると、これらを巧みに活用し、実践行動に結びつけ成果をあげていることがよく知られている。

従って、インバスケット試験は、保有すべき知識やスキルを測るものでなく、上位の役職者として、職場で実際に能力を発揮できるかどうかを計測しようとすることが目的なのである。

4. インバスケット試験は「正解」がない試験

(1) インバスケット試験がなぜ難しい試験だといわれるのか、その理由は実は簡単である。

それは、インバスケット試験には、問題に対する「解答」とか「正答」が存在しないからである。試験なのに解答がない?

読者は不思議に思うかもしない。しかし、この事実がインバスケット試験を難しくし、かつての筆者もそうであったように、この事実に気づかず、小手先の試験対策だけに終始している受験者を悩ませているのである。

(2) では、解答や正答がないインバスケット試験では、一体何がどのように評価されるのであろうか?

(3) ところで、組織の役職者には、大まかに分類すると次のような能力が一般的に求められている。すなわち、

①問題発見力・・・問題は何なのか?

②原因分析力・・・原因はどこにあるのか?

③対策立案力・・・対策をどうたてるのか

④統率力・・・優先順位を決め、どのように実行するのか?

の四つの要素である。

(4) インバスケット試験で重要なことは、これらの要素について受験者がどのような判断をしたかという結果を評価するのでなく、なぜその結果に至ったのか、その思考過程が評価される試験なのである。

(5) 従って、インバスケット試験では、「問題を適切に発見した回答が正解」、とか、「優れた対策を記述した回答が評価される」、といった他のアセスメント試験とは一線を画しているといえる。知識や回答ノウハウそして「コツ」を詰め込んで、唯一無二の正解があるはずだと思い込んでこれに臨んでも、合格は近づいてこないのである。

5. インバスケット試験の形式

ここではインバスケット試験が、どんな形式で実施されるのかについて解説する。

(1) インバスケット試験は、昇進試験の一環として実施されることが多いことは既に述べたとおりである。この場合受験者は大きな会議室などで一斉に受験することになるだろう。

(2) 試験時間は概ね60分から90分が標準的である。

(3) 試験問題と回答用紙が配られ、回答形式は「選択式」もあるが、「記述式」を採用する会社が多いようである。つまり、受験者は自ら回答を記述しなければならない。しかし、文章や文字の巧拙は評価の対象にはならない。

(4) 試験問題は、概ねどの試験でも次のような構成になっている。

回答の指示書

② 受験者の置かれている、架空の立場と状況の説明書

③ 受験者が所属する、架空の会社や部門の概要と組織図等の資料

④ この架空の会社や部門の経営数値やマーケット状況等の計数資料

⑤ 受験者に届いている、20件の案件(未開封受信メール)

(5) さらに、回答の指示書には次の事項が明確に示されている。インバスケット試験はゲームであるから約束事がいくつかある。従って次の下線部分が特に重要で、これらが抜け落ちると評価されない。

① 受験者は指示された上位役職者(主人公)の立場で制限時間内で可能な限り多くの案件を処理することが求められていること

どの案件あるいは情報が重要か、緊急か、は受験者が判断すること

③ 案件処理に関して、受験者がとった判断・言動等はすべて回答用紙に記述すること

④ 意思決定や言動の理由が、第三者がみて分からないと思われるときは、判断や言動の根拠や要因となったデータや資料を記入すること

(6) なお、インバスケット試験は全員に同じ問題が課されるわけではない。例えば、係長候補者向、課長候補者向、部長候補者向、といった具合に昇進職位のレベルに応じて問題の難易度も変わり、また試験時間も変化することがある。従って、受験者がどのレベルの試験を受験するのかは、次項で述べる「試験の事前準備」に関連して、予めよく調べておくことが得策である。

6. インバスケット試験の事前準備

インバスケット試験を受験することが決まったら、できるだけ早いうちから次の準備を始めてほしい。

(1) 受ける試験の内容の確認

① 前項で述べたとおり、インバスケット試験は目指す役職者のレベルに応じて、試験内容が変わることが一般的である。読者がどのレベルの試験を受けるのか、そして少なくとも試験形式や案件数、制限時間は事前に調べておきたい。

② 昇進試験にインバスケット試験を採用している会社では、毎回その試験の趣旨や内容が大きく変わってしまうことはまずないだろう。上司はもちろん受験経験者や人事部に積極的に問い合わせて、確認しておくことが得策である。

(2) リアルな問題集と信頼のおける解説書の入手

受験するインバスケット試験のレベルが分かったら、まずは実際の過去問題集(もちろん信頼できる解説つきのもの)を入手することを勧める。リアルな問題は5項で示したように付属資料等を含めてA4サイズで30ページを超え、相当なボリューム感である。本番の試験の雰囲気をつかむためにもこれを入手したい。

(3) アドバイスしてくれる第三者

① インバスケット試験は「上位の役職者になりきって」問題に回答することが求められる。受験者は「現在の役職の立場で」案件に臨むことは得意でも、「上位の役職者の立場で」となると、これはなかなか難しい。現実問題として、単に過去問を解き、解説書を読んでもピンとこないことが多い。上位の役職者の経験がないのだから、それは当然であり、これがまさにインバスケット試験の難しさなのである。

② そこで、事前勉強にあたっては、アドバイスをもらえる第三者を探しておくことを勧める。インバスケット試験の合格経験者で、上位の役職者に受験者の書いた練習用の回答書の評価を定期的にしてもらうと、多くの「気づき」に出会い合格への力がぐっと増す。インバスケット試験は絶対の解答や模範解答がない試験だけに、経験者のアドバイスは極めて有効である。

③ 最も身近なアドバイザーは直属の上司や、日頃業務上で接している先輩上位役職者であろう。もちろん社内に研修会や勉強会があれば、これらを積極的に活用すべきである。

(4) トレーニングに徹し、繰り返すこと

① ここでは試験の「勉強」といわず、あえて「トレーニング」という言葉を使っておきたい。筆者の経験から思うに、インバスケット試験への準備は、ちょうど体操の選手が難度の高い技を習得する過程と同じである。難度の高い技は同じトレーニングを毎日繰り返し行い、徐々にその体が技への感覚を覚えて、やがて成功の確率が格段に高まっていくものであろう。そこには「コツ」とか「ノウハウ」や「近道」といった便利なものは、おそらくない。

② インバスケット試験の事前準備も同じである。これまで述べてきたとおり、インバスケット試験は、結果を評価するものでもなく、知識の量や質を試すものでもない。受験者がこれまで経験したことのない上位役職者として、なぜその判断に至ったのかの過程が評価される試験である。まさに、これまで経験したことのない技に挑戦する体操選手と同じではなかろうか。

③ そこで受験者に勧めたいのが「トレーニング」である。同じ問題集で構わない。これを本番と同じように回答用紙に記入するトレーニングに徹し、これを最低でも4~5回は繰り返してほしい。そして自分の回答と解説書とを読み比べ、アドバイザーがいれば時折意見をもらうとよい。

④ 最初のうちは、試験へのモチベーションが下がる事態になるかもしれない。しかし、このトレーニングを繰り返していくうちに、上位の役職者のすべき判断や言動のイメージが、体にしみ込んでくるはずである。

筆者が第1項で、インバスケット試験は「知識」「過去問チェック」「コツ」だけではダメだと述べた理由がここにある。

7. まとめ

筆者の経験をもとにインバスケット試験の概要から、トレーニングの重要性について述べてきた。

インバスケット試験は「ゲームである」とも述べたが、誤解を恐れずにいうと、この試験は資格試験などに抜群の結果を出す人ほどダメな傾向にある。

「どんなゲームになるか、楽しみに本番を待つ」くらいの感覚で臨むことが、むしろ良い成績につながっているのが現実だ。

本ブログを参考にして、読者の健闘を祈りたい。

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徳丸 博史
人事担当・課長
現在は人事担当で課長職。
昇格試験の面接官を担当し、年間60名程の面接を実施。
初めての昇格試験時、周りからのプレッシャーと対策の仕方がわからなすぎて焦りから鬱病に。
一度不合格になったが、翌年に再受験で合格。
昇格試験で辛い想いをしている人を救うべく、不透明な昇格面接の対策法を発信する。
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