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方針立案演習・分析発表演習の解答例と対策(昇格昇進試験)

どうも、徳丸です。

昇格試験の中でも特に難関とされる「方針立案演習(分析発表演習)」

最近、この試験についての相談が多く、困っている方が多いようなので

合否を分ける重要なポイントと、実践的な解答例を紹介していく。

私は大手企業の人事課長として、累計数百名の昇格試験の評価に関わってきた。

その経験から、方針立案演習で落ちる人には、ある共通点があることに気づいた。

そう、「自分の考えに自信が持てない」という特徴だ。

方針立案は、事業企画などの部署にいない限り、担当者レベルでは経験ができないので、苦手なのは当然のこと。

徳丸 博史
徳丸 博史

企業側は「戦略を立てられる人材を上に上げたい」ということ。
そうなら、そういった研修や機会を充実するべきだと思う

今回は、この課題を克服し、確実に加点される解答を導き出すための具体的な方法と解答例を紹介する。

このブログの運営者情報。①大手企業の人事課長 ②昇進試験の制度設計・面接官担当 ③会社にも認定される昇格試験オタク
何でもご相談ください!
目次

方針立案演習・分析発表演習とは何か

会社によって、「方針立案演習」「分析発表演習」「戦略立案演習」と呼び方が変わるが内容は同じである。

この試験の概要とタイムチャート的なものを解説する。

方針立案演習の概要

方針立案演習は、昇格試験において「管理職としての思考力」を評価する重要な試験だ。

具体的には、ある課題や問題状況が提示され、その分析から解決策の立案、実行計画の策定までを、限られた時間の中で行う試験である。

例えば、ある飲食店のマネージャーになり、事業計画を検討する役割が与えられる。

業界動向や売上情報、アンケート結果など、あらゆるデータが示され、それをもとに戦略を立てていく。

具体的には、以下の設問の流れで回答させられるケースが多い。

方針立案演習の実際の設問
  • 業界の現状と課題を分析してください
  • 顧客ニーズを分析し、事業戦略の立案してください
  • 具体的な目標(KPI)と実行計画を立ててください
  • 想定されるリスクと対処方針を検討してください

この試験の特徴は、「正解のない問題」に対して、受験者がどのように考え、どのような解決策を導き出すかを評価する点にある。

徳丸 博史
徳丸 博史

評価者が見ているのは、単なる解決策の良し悪しではないということ

「方針立案力」とは、経営環境や事業課題を正しく理解し、具体的な戦略と実行計画を策定する能力のこと。

特に重要なのは、以下の3つの要素であり、これらが試されると考えてよい。

  • 分析力」:データや事実に基づいて現状を正しく把握する
  • 構想力」:中長期的な視点で打ち手を考える
  • 実践力」:具体的な行動計画に落とし込める

方針立案演習の流れと演習時間

全体の流れと演習時間の例を示す。多くの企業で同じくらいの時間配分となっていることが多い。

方針立案演習の流れと演習時間
  • 方針立案(個人ワーク):120~180分程度
  • プレゼン:1人3~5分程度
  • グループディスカッション:60分程度
  • 代表者による発表:1人5分程度

会社によっては、グループディスカッションが無かったり、全員発表があったりする。

過去の試験がどのような構成だったのかは、先輩や上司に確認しておくことを推奨する。

方針立案演習で評価される3つのポイント

評価者は、多くのディメンション(評価観点)で評価をしてくるが、大枠で捉えると以下の3つの観点での評価となる。

  • 「問題の本質」を見抜く力
  • 「具体的な打ち手」を考える力
  • 「実行可能性」を担保する力

特に重要なのは、この3つの要素に「意図と根拠」を持って答えることだ。

徳丸 博史
徳丸 博史

これはインバスケット演習や面接など、他の試験にも通ずるポイントでもある

よくある失敗パターン

方針立案演習で最も多い失敗は、「表面的な解答」に終始してしまうことである。

例を挙げると、

  • 問題文の表面的な課題にだけ対応した施策を並べる
  • 自分の経験だけに基づいた独りよがりな提案をする
  • 抽象的な表現で具体性に欠ける

上記では「なぜそう考えたのか?」ということを論理的に表明できずに、評価されない。

では、どのように解答を作っていけばよいのか?

次の項目で解説していく。

実践的な解答の作り方

方針立案の解答の流れは、以下の項目に沿うと進めやすい。(設問もこれに合わせているケースが多い)

  • 業界の現状と課題
  • 顧客ニーズ・事業戦略
  • 具体的な目標(KPI)と実行計画
  • 想定されるリスクと対処方針

この流れは、問題の分析から具体的な実行計画まで、論理的に考えを展開できる構造になっているので優れている。

各項目での進め方を解説していく。

(1) 現状と課題分析

まずは現状を正確に把握することから始める。

ここでのポイントは、単なる問題の列挙ではなく、データや事実に基づいて現状を分析することだ。

例えば、売上低下の問題であれば、どの商品が、いつから、どの程度低下しているのか、具体的な数値で示す。

そして、その原因を多角的な視点で分析し、本質的な課題を特定する。

この演習で使える独自の超おすすめのフレームワークは以下のマニュアルで解説している。

>> 方針立案演習(分析発表演習)の解き方マニュアル

(2) 顧客ニーズと方針(事業戦略)

課題が明確になったら、次は解決の方向性を定める。

ここで重要なのは「顧客視点」。

社内の都合だけでなく、顧客にとっての価値を考慮した方針を立てる。

そうでないと、市場のニーズを捉えられず、競合他社との争いに勝てないからだ。

その上で、中長期的な戦略と、具体的に達成したい目標を設定する。

方針は「具体的かつシンプル」に表現することを心がけよう。

(3) 目標(KPI)と実行計画

戦略を実現するために、具体的な実行計画を立てる。

ここでのポイントは、進捗を測定できる明確なKPIを設定することだ。

「売上を上げる」ではなく「年間売上を前年比120%にする」というように、数値目標を明確にする。

そして、その目標達成のために必要な施策を、短期・中期に分けて具体的に記述すればよい。

(4) 想定されるリスクと対処方針

最後に、計画実行上のリスクを予測し、その対応策を考える。

ここで評価者が見ているのは、計画の実現可能性に対する考慮だ。

実際の事業でも外的要因の影響など、計画通りに進むことなどない。

起こりうる問題とその対処方針を事前に計画しておくことで、計画の実効性を高める。

リスクごとに対処策を記載しておけばよい。

その際に、ヒト・モノ・金の観点でも検討しておくと、より実効性のある対処案が書ける。

徳丸 博史
徳丸 博史

これは実際の管理者スキルとしてもかなり重要なスキル

方針立案演習(分析発表演習)の例題と解答例

設問例題として

「飲食店Aにおける利益拡大に向けた事業戦略を立ててください」

という例題に対して、解答例(考え方)を解説していく。

解答例(考え方)

①現状と課題分析

まず、飲食店Aの現状を分析する。(本来は、フレームワークを使って詳細に分析するが割愛)

売上は月間1,000万円で前年比95%と減少傾向にある。

客単価は3,000円、平均来店客数は日100名程度。

時間帯別の稼働率を見ると、ランチタイムは80%と高いものの、ディナータイムは40%と低迷している。

また、食材原価率は35%と業界平均(30%)より高く、人件費率も35%とコスト管理に課題がある。

これらのデータから

  1. 集客力の低下
  2. 原価率の高さ
  3. 夜間の低稼働

という3つの本質的な課題を導ける。

②顧客ニーズと方針

来店客の属性分析から、当店の主要顧客は近隣のオフィスワーカーと地域住民である。

顧客アンケートによると、ランチは「価格帯と提供スピード」、ディナーは「メニューの多様性と価格帯」への要望が強い。

これらのニーズに応えるため、基本方針として「顧客層別の価値提供強化による収益力向上」を掲げる。

時間帯ごとの顧客特性に合わせたメニュー構成と、原価管理の徹底により、利益率の改善を目指す。

③KPIと実行計画

まず、売上と利益に関する具体的な目標値を設定する。

1年後の達成目標として、売上高を前年比120%(月1,200万円)、営業利益率を現状の10%から15%に改善することを掲げる。

そのために、以下の数値目標を立てる。

集客

  • 昼来店者数:○人→○人への増加
  • 昼デリバリー数:○人→○人への増加
  • 夜来店者数:昼は○人→○人への増加
  • 夜デリバリー数:○人→○人への増加

稼働率

  • 昼:○%→○%
  • 夜:○%→○%

原価率(商品や時間帯で分けてもよい)

  • ○%→○%

その次に、実行計画として、短期施策と中期施策を立てる。

短期施策(3ヶ月以内)としては、まず原価管理の強化に着手する。

具体的には、仕入れ先の見直しと発注量の最適化、メニューの原価計算の見直しを実施する。

同時に、ディナータイム向けの新メニュー開発と価格帯の見直しを行う。

中期施策(1年以内)として、顧客管理システムを導入し、来店頻度に応じたポイント還元プログラムを実施する。

また、デリバリーサービスの強化により、店舗稼働率の向上を図る。

④リスクと対処方針

主なリスクとして、メニュー改定による既存顧客の離反や、原価低減による品質低下が懸念される。

これに対しては、顧客アンケートを定期的に実施し、満足度をモニタリングする。

また、原価低減は仕入れ先の見直しを中心に進め、品質は維持する方針とする。

デリバリー強化に伴う運営負荷の増加については、専門スタッフの採用とマニュアルの整備で対応する。

施策の効果は月次で測定・検証を行い、PDCAサイクルを回しながら、必要に応じて軌道修正を図っていく。

特に重視する指標は、客単価、来店客数、原価率の3点とし、週次でのモニタリングを実施する。

解答例(考え方)の解説

上記に、簡易版な解答例として一案を記載した。

本番では、より詳細な分析をし、より具体的な計画を立案する必要がある。

その方法は需要があれば、別で解説する。

ここで、再度ポイントになるが、採点者は「正解」を求めているわけではない、ということ。

各種データを自分なりに分析し、意図と根拠をもって、論じれているかどうか

がポイントになってくる。

より詳細な解き方のマニュアルをnoteで販売しているので、興味がある方はどうぞ(↓)

>> 方針立案演習(分析発表演習)の解き方マニュアル

まとめ

方針立案演習は、かなり難しい試験だと思う。実際に、ここで落ちてしまう方も多い。

ただ、受験者のほとんどの人が同じ状況なので、いまこのページなどで学ばれている方は

少なくとも、一歩はリードできているのではないかと思う。

「千里の道も一歩から」という言葉がある。

方針立案演習も同じだ。一つ一つの準備を積み重ねることで、必ず道は開ける。

評価のポイントを理解し、準備を重ねれば、必ず合格できる。

あなたの合格を心から応援している。

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徳丸 博史
人事担当・課長
現在は人事担当で課長職。
昇格試験の面接官を担当し、年間60名程の面接を実施。
初めての昇格試験時、周りからのプレッシャーと対策の仕方がわからなすぎて焦りから鬱病に。
一度不合格になったが、翌年に再受験で合格。
昇格試験で辛い想いをしている人を救うべく、不透明な昇格面接の対策法を発信する。
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