【例文あり】「なぜ管理職になりたいのか?」昇格面接での回答方法と面接官の本音
昇格面接で「なぜ管理職になりたいのか?」と聞かれたとき、あなたはどう答えるだろうか。
この質問は昇格面接の中でも特に回答が難しく、多くの候補者がつまずくポイントである。
- 「なぜ管理職になりたいのか」と聞かれても、正直うまく言葉にできない。
- 「リーダーとして引っ張りたい」と答えたら、突っ込まれて詰まってしまった
- 面接官がこの質問で本当に知りたいことって何?
- 模範解答やNG回答のパターンを事前に知っておきたい
こんな悩みを抱えている人に向けて、この記事では昇格面接で「なぜ管理職になりたいのか?」と聞かれたときの回答方法を、面接官の本音とあわせて徹底解説する。
この記事を読めば、面接官がこの質問で何を見ているかが明確になり、自信を持って回答を組み立てられるようになるはずだ。

本記事の信頼性
- 大手企業の人事課長であり、年間60名の昇格面接を担当
- 自身も、大手企業で昇格試験の合格実績あり(一度不合格、翌年合格)
- 後輩・同僚、ネットで相談いただいた方にレクチャーし、累計100名以上を昇格試験合格に導く
「なぜ管理職になりたいのか?」は何を問われているのか
昇格面接における「なぜ管理職になりたいのか?」という質問は、一見シンプルだが実は非常に奥が深い。まずは面接官がこの質問で何を見ているのかを正しく理解しよう。
面接官が本当に知りたいのは「熱意」ではない
「管理職になりたい」という熱意をアピールすれば評価されると考える人は多いが、実はそうではない。
面接官がこの質問で確認したいのは、管理職という役割の本質を理解しているかどうかだ。
もっと具体的に言えば、管理職の「責任と権限」を正しく認識し、その重みを受け止める覚悟があるかを見ている。
「やる気」だけで管理職は務まらない。部下を評価し、組織の意思決定に関わり、経営方針を現場に落とし込む。その責任の重さを理解したうえで、「それでも自分はこうしたい」と語れるかどうかが問われているのである。
「管理職になったら何をしたいか?」との違い
似た質問に「管理職になったら何をしたいか?」がある。こちらは管理職の役割理解に基づいた具体的な行動・実行計画を問う質問だ。
一方、「なぜ管理職になりたいのか?」は、行動計画の前提にある動機・覚悟――つまり「なぜその責任を引き受けたいのか」を問う質問である。
| 質問 | 問われている内容 |
|---|---|
| 管理職になったら何をしたいか? | 管理職の役割理解に基づいた具体的な行動・実行計画 |
| なぜ管理職になりたいのか? | 管理職を志す動機・覚悟、責任を引き受ける意思 |
どちらの質問でも「管理職の役割理解」が土台になる点は共通しているが、問われる焦点が「何をするか(行動)」なのか「なぜやりたいのか(動機)」なのかが異なる。
この違いを理解しているかどうかで、回答の質は大きく変わる。「管理職になったら何をしたいか?」の回答方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

よくあるNG回答パターン5選
ここからは、面接官として実際に聞いてきた中で「これでは評価できない」と感じる回答パターンを紹介する。自分の回答案が当てはまっていないか、チェックしてみてほしい。
NG①:「リーダーとしてみんなを引っ張りたい」
最も多いNG回答がこれである。昇格試験を受けるくらいだから、すでにある程度のリーダー経験はあるはずだ。
面接官が思うのは、「それは管理職にならなくてもできるよね?」ということ。
リーダーシップの発揮は現在の立場でも可能であり、管理職になりたい理由としては不十分なのだ。
NG②:「現場の意見を経営に届けたい」
これも一見もっともらしいが、同じ突っ込みが入る。現場の意見を上に伝えること自体は、管理職でなくても取り組める。
面接官が知りたいのは、管理職の「権限」を使って具体的にどう組織を動かしたいのかというレベルの話である。
NG③:「給料を上げたい」「肩書きがほしい」
論外に思えるかもしれないが、遠回しにこのニュアンスが透けて見える回答は意外と存在する。面接官はそこを見抜くプロである。待遇面の話は一切出さないのが無難だ。
NG④:「上司に推薦されたから」
正直な話、私自身が課長になった理由はまさにこれだった。だが、今の昇格面接でこう答えたら間違いなく落ちる。
面接官が見たいのは自発的な動機と覚悟であり、「言われたから」では管理職としての主体性が感じられない。
NG⑤:「生産性を上げたい」「職場改善をしたい」など抽象的なビジョンのみ
方向性自体は悪くないのだが、抽象的すぎて「管理職だからこそできること」が見えないのが問題だ。
「生産性を上げたい」なら、管理職の権限を使って具体的に何をどう変えるのか。聞いた人が「それならできそうだ」と思えるレベルまで具体化する必要がある。
面接官が評価する回答に必要な2つの視点
では、面接官が「この人はわかっている」と感じる回答には何が必要なのか。それは管理職の「責任」と「権限」の両面を理解していることである。
視点①:管理職の「責任」を理解しているか
管理職には、担当者時代とは次元の異なる責任がのしかかる。主なものは以下のとおりだ。
- 部下の総合的な育成 — スキルだけでなく、キャリア形成まで含めた育成
- 部下の評価 — その人の昇進・待遇・人生設計に直結する評価を下す重責
- 組織のモチベーションとモラールの維持・向上
- 経営方針の伝達と、課としての活動方針の決定
特に「部下を評価する」という行為の重さは、管理職になってみないとなかなか実感できない。一度でもC評価をつければ、その記録はその人が会社にいる限り残る。昇進が頭打ちになり、給料も上がらなくなるかもしれない。
私自身、毎年の評価時期になると胃が痛くなる。部下の人生に影響を及ぼす可能性があると思えば、軽い気持ちではいられないのだ。
面接官は、この「責任の重さ」を候補者が想像できているかどうかを、言葉の端々から読み取ろうとしている。
視点②:管理職の「権限」を活かすビジョンがあるか
責任の裏返しとして、管理職には大きな権限が与えられる。
- 部下の評価を通じた業務のコントロール
- 部門・会社経営への直接的な参画
- 自分の意思で業務やプロジェクトを発足できる
- 経営者への現場視点での意見提出
- 部門横断的なプロジェクトの企画・推進や社内改革
要するに、役職というバックボーンを持って、自分の意見を組織の運営や業績に反映できるようになるということだ。
面接官が聞きたいのは、この権限を使って具体的に何を成し遂げたいのかである。「責任」を理解したうえで「権限」を活かすビジョンを語れる候補者は、間違いなく高い評価を受ける。
「なぜ管理職になりたいのか?」の回答例と組み立て方
ここからは、具体的な回答の組み立て方と例文を紹介する。
回答の組み立て方:3つのステップ
「なぜ管理職になりたいのか?」の回答は、以下の3ステップで組み立てると説得力が増す。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 責任の認識 | 管理職の責任をどう理解しているかを示す | 部下育成・評価の重みなど、具体的に触れる |
| ② 権限を活かすビジョン | 管理職の権限で何を実現したいかを語る | 「管理職だからこそできること」を具体的に |
| ③ 覚悟の表明 | 責任を引き受ける覚悟を自分の言葉で伝える | 力まず、誠実に語る |
重要なのは、これらを「具体的に」「組み合わせて」語ることだ。
「具体的に」とは、聞いた人が「それならやれるかも」とイメージできるレベルまで話を落とし込むこと。
「組み合わせて」とは、責任・権限・覚悟の複数の視点から「全方位でわかっているよ」と訴えることである。
回答例①:業務改革の視点から
「管理職になりたいのは、自部門の業務プロセスを根本から変革したいからです。現在担当者として改善提案を行っていますが、部門横断的にプロセスを変えるには、管理職としての意思決定権限が必要だと感じています。同時に、部下の評価を通じて組織の方向性を定めるという重い責任も理解しています。その責任を引き受けたうえで、5%の改善ではなく、仕組みそのものを変える改革に取り組みたいと考えています。」
ポイント: 「なぜ管理職の権限が必要なのか」を具体的に示しつつ、責任の認識と覚悟も組み合わせている。
回答例②:部下育成の視点から
「管理職になりたい理由は、部下一人ひとりの能力と特性に応じた育成を、評価権限を持って責任をもって行いたいからです。担当者時代にも後輩指導は経験しましたが、育成方針を組織として定め、評価を通じてフィードバックするには管理職の権限が不可欠です。部下のキャリアや人生に影響する評価を下す重責は理解していますが、だからこそ本気で向き合いたいと思っています。」
ポイント: 「後輩指導はしてきたが、それだけでは不十分」と、管理職でなければできない理由を明確にしている。
面接官の本音:覚悟がにじむ回答は強い
最後に、面接官としての率直な本音を書いておきたい。
「改善」ではなく「改革」の視点を持つ
管理職に期待されているのは、5%・10%の地道な改善だけではない。
50%、100%以上の大きなステップアップ、つまり「改革」である。
既存の仕組みの延長線上ではなく、仕組みそのものを変えるという発想。
面接官はそこに管理職としての器を感じる。
もちろん、改革のビジョンは絵空事ではいけない。現場を知り、課題を具体的に把握したうえでの構想であることが大前提だ。
面接官が密かに信頼する候補者の特徴
年間60名の面接を通じて感じるのは、「完璧な回答」よりも「覚悟がにじむ回答」のほうが強いということだ。
私が高く評価した候補者に共通していたのは、管理職の「責任」と「権限」の両面から、自分の言葉で語れることだった。流暢でなくてもいい。テンプレ通りでなくてもいい。自分で考え抜いた言葉で語る人は、面接官にはすぐわかる。
そして、責任の重さに真剣に向き合っている人ほど、面接官は信頼する。怯む必要はない。怯むくらい真剣に考えられること自体が、管理職としての適性なのだから。
まとめ:面接官はあなたの「覚悟」を聞きたい
本記事では、昇格面接で「なぜ管理職になりたいのか?」と聞かれたときの回答方法と、面接官が本当に見ているポイントを解説した。
改めて要点を整理しよう。
- 面接官がこの質問で見ているのは「熱意」ではなく、管理職の役割の本質を理解しているかどうか
- 「リーダーとして引っ張りたい」など、管理職でなくてもできることを語るのはNG
- 管理職の「責任」(部下育成・評価の重み)と「権限」(組織を動かす力)の両面から語ることが重要
- 回答は「責任の認識 → 権限を活かすビジョン → 覚悟の表明」の3ステップで組み立てる
- 「改善」ではなく「改革」の視点を持つことで、管理職としての器を示せる
- 完璧な回答より、覚悟がにじむ回答のほうが面接官の心を動かす
昇格面接を前に不安を感じている人もいるだろう。だが、この問いに正面から向き合い、管理職とは何かを本気で考えている時点で、あなたはすでに大きな一歩を踏み出している。
自分の言葉で、自分の覚悟を語ってほしい。面接官は完璧な正解を待っているのではない。あなたの覚悟を、聞きたいのだ。






