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【昇進試験とは?】昇格試験との違い・受験資格・スケジュール

「昇進試験」について、意外と正しい知識を持っている人は少ない。

  • 昇進試験と昇格試験って、違うの?
  • 受験資格って何?
  • スケジュールを知りたい

民間企業の人事部門の責任者として、昇進試験の運営にたずさわり、その現場をつぶさに見聞きしている私が、この疑問にお答えする。

昇進試験にチャレンジしようとする方が、昇進試験・昇格試験とはどんなものかをイメージするために、これが参考になると幸いである。

なお、昇格面接試験の対策については以下の記事で解説している。

目次

「昇進」とは偉くなること、「昇進試験」とは難関大学入学試験

では最初に、「昇進」「昇進試験」のざっくりイメージを解説する。

「昇進」とは偉くなること

昇進とはひと言でいえば、特定の人が組織のなかで「偉くなること」である。「特定の人」だから全員が昇進できるわけではない。認められた人だけが昇進するのである。

その理由は昇進後のポストの数に限りがあるからだ。従って誰でもよい、というわけにはいかない。

そこで限りある昇進ポストを巡って昇進候補者は切磋琢磨し、そのポストに最もふさわしい人を選ぼうとするのが会社の昇進試験なのだ。  

徳丸 博史
徳丸 博史

詳細な定義は後述しますが、まずはイメージを

なぜ「昇進」を目指すのか?

人が昇進を目指すのは、ごく自然な心理であり行為である。

「選ばれる」ということは「認められる」ということであり、これは人や組織あるいは社会に認められたいという誰もが持つ承認欲求の表れである。

昇進を目指すことは、決して人に疎まれることでもなく、まして足の引っ張り合いでもない。

「昇進試験」は「難関大学入学試験」である

筆者は日頃から昇進試験は、難関大学への入学試験に似ていると感じている。

難関大学に合格するためには常日頃から研鑽を積み、目指す大学の入試のやり方や過去の問題の傾向を研究しこれに備えるだろう。

そして、入学試験ではその大学の期待に応える答案を書き、さらに定員数をクリアした人だけが入学を許される。

昇進試験もこれと同じである。会社が期待する実績を積みながら、会社が求める結果を試験で出し選抜されなければ成功はおぼつかない。

昇進と昇格の違い

「昇進」と混同される言葉に「昇格」というのがある。両社に相関関係はあるが、全く違う制度概念なので昇進を知るうえでその違いを押さえておきたい。

昇進試験が選抜するための入学試験なら、昇格試験は単位さえきちんと取れば認められる卒業試験だと考えるとよい。

昇進とは

先に述べたとおり、昇進とは組織上のポスト(地位)が上昇することである。

会社によってその呼び名は様々だが、組織上の名称や名刺の肩書が、例えば次のように上昇する。

「昇進」のイメージ

(担当)→ 主任 → 係長 → 課長 → 部長 → 本部長 → 事業部長

昇格とは

昇格とは等級(ランク)が上昇することである。

やや専門的になるが、会社は「職能資格制度」「役割等級制度」「職務等級制度」といった各社独自の制度のなかで、年齢・経験年数・実務能力等に応じて従業員を格付けしている。

そして、時間の経過とこれに伴う実務能力の向上に伴って、例えば下記のように等級(ランク)が上がっていくのである。

「昇格」のイメージ

1等級(新卒社員)→ 2等級  → 3等級 → 4等級 → ・・・10等級

なお、もちろん昇格にあたっても、たいてい試験が課されている。

徳丸 博史
徳丸 博史

ちなみに、トクマル部では、昇進・昇格どちらの試験も扱っていますが、表記上、使われやすい「昇格」という言葉で統一してます~

昇任とは

なお、「昇任」という言葉もあるが、これは主に公務員の世界で使われ、民間企業の「昇進」とほぼ同義である。

会社の昇進制度を知るべし

自分の会社の昇進制度に無頓着な人は案外多い。会社の制度をよく知らないと、昇進試験は戦えない。

なぜなら、冒頭で述べたとおり昇進試験は限られたポストを争う選抜試験であり、年功序列の色彩が強い昇格試験とは全く目的が異なるからである。

会社によっては例えば、誰でも自由に試験にチャレンジできる制度もあるだろうし、試験前に足切り条件が課されている制度もある。

つまり、制度の仕組みを知らないと、昇進試験に参加すらできないのである。

以下に昇進制度のいくつかのパターン(あるいはその併用もある)を紹介する。

  • 会社が定める条件が厳しく、これを満たした人だけが試験にチャレンジできる。
  • 会社が定める条件は緩やかで、原則として誰もが試験にチャレンジできる。
  • そもそも受験条件が無く、昇進ポストに対し社内横断的に公募し、実務経験の浅い若手でも試験にチャレンジできる。

あなたの会社の制度がどのパターンなのか、事前によく研究してほしい。

昇進試験の受験資格

昇進試験は筆記試験・技能試験・適性試験・面接試験などを組み合わせて実施されるのが一般的だ。

ここで留意すべきことは昇進試験に至るまでに、昇進ポストごとに受験条件が示されていることが多いという事実だ。いわゆる受験資格のこと。

主な具体例を列挙すると次のとおりである。

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条件項目受験条件
年齢ポストによって受験時の年齢を制限すること
現ポストでの滞留期間現在のポストの滞留期間が一定以上あること
現等級での滞留期間現等級での滞留期間が一定以上あること
過去の人事考課結果(例えば)過去2年間の人事考課項目がすべて「B」評価以上で、かつ「S」評価が5個以上あること
転勤/異動経験転勤/異動により、複数の職種を経験していること
海外勤務経験海外での勤務経験があること
資格取得会社が定める、あるいは自己啓発による資格を取得し ていること
語学会社が定める一定の外国語力を有すること
上司の推薦直属の上司やライン役員の推薦があること
受験資格、受験条件の例

この受験資格(条件)は、次のとおり二つのカテゴリーに分類される。

(1) 絶対的条件

斟酌されない絶対的な条件で、この条件に抵触すると受験資格を失う。

(2) 相対的条件

比較的緩やか条件で、状況や事情によっては免除されることのある条件。

どの条件が絶対的で、何が相対的かは会社の制度や考え方によって様々である。ただし、昇進試験にあたり何が最も重視されるか、次の調査数字は注目に値するだろう。

昇進試験にあたって何を最も重視するか (複数回答/全調査会社のうち)

項目割合
人事考課の結果90.3%
上司からの推薦77.9%
昇進試験にあたって何を最も重視するか (複数回答/全調査会社のうち)

引用:『労政時報』第4036号(22.6.10)より

やはり、過去の実績と昇進適性がどうなのかの上司意見に、多くの会社が重きを置いているのが実情だ。

「抜擢昇進」はあるのか?

 昇進試験は、いまや抜擢昇進は特別なことではない。

その理由はいうまでもなく、特に若手の登用による組織の活性化であり、能力主義・成果主義人事への移行の布石といってもよい。

そこで、ここにでも一つの興味深い調査結果があるので紹介する。

調査した会社の職位ごとの「現状の平均年齢」と、昇進にあたり「想定される登用年齢」の平均比較である。

「現状の平均年齢」と「想定される登用年齢」

職位現状の平均年齢想定登用年齢の平均
係長クラス43.6歳30.4歳
課長クラス48.0歳35.5歳
部長クラス52.7歳42.1歳
「現状の平均年齢」と「想定される登用年齢」

引用:『労政時報』第4036号(22.6.10)より

各社とも若手の登用に重きを置いていることがよくわかる。

「昇進試験」挑戦への準備

(1) 昇進試験のプロセスとスケジュール

昇進試験を目指すにあたっては、大学入試当時の状況を想い起こすとよい。

なぜなら、昇進試験は数々の受験条件を事前に承知したうえで、複数の試験を時系列で受けなければならないことが多く、案外と面倒なのである。

この昇進試験へのプロセスは大学入試での煩雑なプロセスに似ていて、これを巧みに通過してきた読者世代は、大学入試の準備経験が昇進試験準備にも役に立ちそうである。

ここでは昇進決定までのプロセスの一例を紹介しておく。もちろん会社によって、時期・手続ともに様々である。

昇進試験のプロセスとスケジュールの例

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次期主な手続き
10月上旬人事部より各部門責任者に「昇進試験要領」通知
10月下旬各部門責任者より、「昇進推薦者名簿」を人事部へ提出
11月上旬人事部にて昇進推薦者の「受験資格」の適合チェック
11月中旬人事部より各部門責任者あて、「昇進候補者確定通知」送付
各部門責任者より本人に「受験日程」通知
1月中筆記試験・技能試験・適性試験を順次実施
2月中面接試験を順次実施
2月下旬人事部を事務局に「合否判定会議」による内定者の決定
人事部より各部門責任者あて、内定通知の送付
3月上旬各部門責任者より、口頭で本人に合格内定通知
4月1日社内人事発令/必要に応じて社外へ発表
昇進試験のプロセスとスケジュールの例

(2) 昇進試験では人間性までも問われる

昇進試験は業務知識の量を試されるものではない。

それは会社組織では地位が高くなるほど、あらゆる場面と局面で深い問題意識・知恵・考え方・将来ビジョンさらには人間性までもが問われるからだ。

昨今の難関大学の入試問題は、かつての知識偏重試験から「考えさせる試験」に様変わりし、面接試験を課すこともある。

これはどこか昇進試験に相通じるものがある。

この対策法を知っているか・知らないかで、合否への影響が大きく変わってくる。

昇進試験の人事面接の完全対策については、以下の記事で紹介している。

「昇進」のため日頃から実践すべきこと

ここでは私の経験から、昇進に成功する人と失敗する人の行動特性を例示する。

わずかに次の2項目だけである。自らの日頃の行動を内省してほしい。

 (1) 昇進に合格する人の特性

  • 自分の(あるいは自部門)の目標に、深い問題意識と強い達成責任感を持っている。
  • 後輩を(あるいは部下を)、自分の子供のように育成している。

(2) 昇進しない人の特性

  • 自分の(あるいは自部門)の目標は、与えられた単なるノルマと捉えている。
  • 後輩は(あるいは部下は)、自分の手足だと捉えている。

昇進するメリット

(1) 昇進するメリット

例えば管理職と呼ばれる職位には、次のようなネガティブなイメージがつきまとっているようだ。

  • 仕事の量と責任が増えるだけだ
  • 接待がたいへんだ
  • 部下に仕事を任せられないし、教育が面倒だ
  • 残業代がもらえない

巷間話題になる「働き方改革」とか「ワークライフ・バランス」の真の目的が誤って理解されている。

昇進の利点を問われるとき、私は自らの体験を踏まえて次のように答えている。

・ 大きな裁量権を与えられることで、仕事の範囲と質が格段と上昇する。

つまり、より良い仕事をたくさんできるようになるのだ。単に仕事の量や責任が増えるのではない。

・ 会社内外の重要な情報を得やすくなる。

これにより社内ばかりでなく社外の人脈やつき合いが飛躍的に広くなり、視野が開け問題や悩みの解決の糸口につながる。接待はその手段に過ぎない。

・ 部下を持てることで仕事を任せることができ、自分は他の高度な仕事に取り組める。部下への権限移譲が最も効果的な教育なのだ。

・ 会社は生活に余裕の持てる相応の報酬を与えてくれる。

有名進学塾に通う子息の親の80%以上が、会社の管理職だという調査数字もある。     

(2) 昇進の真の価値

昇進すると、人生に影響する真のメリットがある。

  • 家族に関すること
  • 人間関係に関すること
  • ライフプランに関すること

色々あるが、まずは自分でしっかり妄想して欲しい。

その上で答えが欲しい人は、メルマガの2通目で解説しているので、登録して欲しい。

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まとめ

昇進合格のためには難関大学受験を例えに挙げたとおり、日頃の実績作りが極めて大事である。昇進試験をめぐって強調したいポイントは次の3点である。

  • 相手(会社の昇進制度など)をよく知っておこう
  • 合格までのプロセスをイメージし、早くから計画を立て実績を作っておこう
  • 自分にとって昇進とは何なのか、よく見つめておこう

最後に本ブログの読者が積極的に昇進試験にチャレンジし、成功されることを祈念したい。

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徳丸 博史
人事担当・課長
現在は人事担当で課長職。
昇格試験の面接官を担当し、年間60名程の面接を実施。
初めての昇格試験時、周りからのプレッシャーと対策の仕方がわからなすぎて焦りから鬱病に。
一度不合格になったが、翌年に再受験で合格。
昇格試験で辛い想いをしている人を救うべく、不透明な昇格面接の対策法を発信する。
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